COLUMN / AIの判断根拠

AIの傾向分析
──過去10年データの使い方

2026年6月5日 / 約2,800字

同じG1は、毎年ほぼ同じ時期・同じコース・同じ条件で行われる。だから過去10年の勝ち馬・好走馬には、「このレースが繰り返し要求してきた適性」が刻まれている。傾向分析とは、その共通項を読み取る作業だ。

ここでは、my-keibaのAIが過去10年データをどの軸で読み、どう使い、どこで誤用を避けるかを公開する。あわせて、当サイトが頑なに守る一線——「AIなら過去のレースをこう当てた」という遡及的中率を出さない理由も、ここで正直に説明する。

傾向分析とは何か

傾向分析は、過去の好走馬に共通する特徴を抽出し、「今年そこに当てはまる馬は誰か」を考える手順だ。たとえば過去10年の勝ち馬が揃って前で立ち回っていたなら、このレースは「前に行ける馬が有利」という性格を持つ、と読める。

重要なのは、傾向はコースが要求する適性の「答え合わせ」だということ。コース形態から論理的に予想した有利不利(直線・坂・小回り)が、実際の過去結果と一致するかを確かめる。理屈と実データが噛み合えば、その読みの確度は上がる。

AIが見る4つの軸

当サイトのAIは、過去10年を主に4つの軸で整理する。

何を読むか
脚質傾向勝ち馬の通過順。前残りか、差し・追込が届くか
枠順傾向内枠・外枠どちらの好走が多いか。スタート後の位置取り
人気傾向堅い決着か波乱か。1番人気の信頼度、伏兵の台頭しやすさ
血統・ローテ傾向好走が多い血統系統、勝ち馬が使ってきた前走レース

この4軸を重ねると、レースの「性格」が立体的に見えてくる。脚質傾向と枠順傾向は展開の有利不利に、血統傾向は適性に、人気傾向は買い目の広げ方に効く。各レース記事の「レース傾向分析」セクションは、この4軸を事実データとAIの解釈に分けて並べている。

傾向の「正しい使い方」と「誤用」

傾向分析には落とし穴がある。傾向は確率の偏りであって、絶対の法則ではない。「過去10年で○○の馬が勝っていない」は、来年その馬が勝たない保証ではまったくない。

さらに、過去10年はサンプルがわずか10レース。統計的にはとても少ない。たまたまの偏りを「鉄則」と勘違いすると、根拠の薄いデータに引きずられて、目の前の強い馬を不当に消すことになる。AIは傾向を「仮説の補強材料」として使い、能力・調教・展開の評価を覆す決定打にはしない。

傾向は確率の偏り。
鉄則と勘違いした瞬間、罠になる。

なぜ「遡及的中率」を出さないのか

ここが、my-keibaが他の予想サイトと最も違う点だ。当サイトは「AIなら過去のG1をこう当てていた」という遡及的な的中率を一切出さない。傾向分析で過去データを使うのに、なぜ過去の「的中実績」は出さないのか。理由は明確だ。

AIは、学習の過程で過去のレース結果をすでに知っている可能性がある。だから「過去のレースを予想させる」と、結果を知ったうえで後付けした予想——いわゆるデータ漏洩——を、客観的に排除できない。後から「当たっていた」と示しても、それが本当の予測力なのか、答えを見て書いたのかを証明できない。

過去傾向(事実データ)= 使う
AIの過去予想の的中率(遡及)= 出さない

「レースの過去傾向」は誰が見ても同じ事実データだから使う。だが「AIの過去予想の成績」は、データ漏洩を排除できない以上、信頼に値しない。だから当サイトの通信簿は参加G1:0 から始まる。これから本番のレースで、結果を知らない状態で予想し、当たっても外れても積み上げる。それだけが、AIの実力を語れる唯一の数字だと考えている。

傾向 × コース × 展開で立体化する

傾向分析は単独では完成しない。コースが要求する適性(「コース特性の読み方」)、その日の流れ(「脚質と展開」)と掛け合わせて初めて、読みが立体になる。過去傾向で「前有利」と出ても、今年のメンバーに逃げ・先行が密集してハイペースが濃厚なら、傾向どおりにはならない。過去の事実と、今年固有の条件を、両方の目で見る——それが傾向分析を使いこなすということだ。

my-keibaの各G1記事は、この傾向分析を表に出し、4軸の事実データとAIの解釈をセットで公開する。なぜその馬を評価し、なぜこの決着を見込むのか。その判断根拠を、後から消さずに残していく。